朝の窓
日本間の北側の窓を開け、街を見下ろす。
雨戸を開けたとたん、ひんやりとした空気が目に入ってくる。高校の体育館の屋根、天体観測のドーム、駐輪場の屋根とそれに沿って、まっすぐ伸びる堀と水のきらめき。堀の横の舗装された道路、路側の白線も両側に見える。道は、百メートルほどで緑に吸い込まれている。そのあたりから、大屋根の一軒、その家の左から高崎の市街地とを区切っている烏側沿いの緑のベールまでまっすぐに続くアスファルトの道。それらを遮るように、自宅の前を下っていく電線と、すぐ下の家の樹木。体育館の手前には、数件下の家の桜の枝。
この風景が気に入っている。毎朝、なんとなくこの風景を見て、この構図を「自分の好きな風景」としていたのだが・・・
この風景を写真に撮ろうとして、収めることができない。天体観測のドームが緑に隠れてしまったり、平行な2本の道路の、その直線的な感じを表せなかったり、学校の自転車置き場の裏の堀の水がうまく見えなかったり・・・。
そして気づいたのが、北側の窓が出窓のようになっていて、上半身乗り出すようにして雨戸を開ける。その姿勢で見た風景だということ。雨戸を開けた瞬間の風景がひんやりとした空気を添えて自分の目に映っていたということ。
旧サイトから転載。2017.6.25