【スズメ】在宅 鳥図鑑
スズメ目スズメ科 撮影月:3,4,5,6,7,8,10 |

この場所に住んで、もう35年になります。鳥の写真を撮り始めるまで、ここでスズメは見ないものだと思っていました。
私が生まれたところは、ここから10キロほど離れた平坦な場所です。同じ市内でも、坂の上り下りのない、畑や田んぼのある土地です。そこでは、空き地にも、田んぼにも、家々の屋根にも、電線にも、日常的にみる鳥といえばスズメでした。小学校から大学までの学校も、そして定年まで勤めた会社も、現在の職場も、多かれ少なかれ似たような状況でした。
この場所は違いました。ウグイスやホトトギス、シジュウカラが鳴き、キツツキが木を叩き、冬にはツグミがやってくる場所です。スズメのいる余地なんてないと思っていました。鳥の写真を撮り始めるまでは・・・。
スズメの特徴の一つとして、頬に黒い斑があることです。カメラで撮った鳥が、何の鳥だろうと、「頬の黒い斑」を頼りに図鑑に向かう中で、スズメだということがわかり、「な~んだ、スズメじゃないか」というような、妙な思いをしたことが何度かあります。11月から2月までの、餌となる昆虫や草木の種などが少ない時期には、撮影記録がないので、その時期はここには来ないのか、あるいはただ写真を撮れていないだけなのかはわかりません。
でも、ここでも人家の屋根、電線で見かけることが多いかと思います。
庭先で 貯水槽の上で 電線で 枝で 近くの家の屋根で
群れでの行動も多いのが特徴です。ここでも、群れで現れることが多いようです。
三羽並んで、こちらを! 電線でも
万葉集にスズメを詠んだものはないとのことです。
古の和歌の中でも少ないようで、インターネットで公開されている論文で、「雀と和歌 ―和歌の珍奇題材の検討―」スピアーズ スコット(國學院大學学術情報リポジトリより) という論文がありました。
そこでは、和歌に登場しない題材の特徴に
・鳴き声の美しさ
・その季節の特徴 代表する景物
・恋の結びつくもの
・掛詞・序詞・縁語・歌枕と結びつくもの の4つの特徴に当てはまらないものではいないか、との論考がありました。
スズメは、鳴き声も「チュッ、チュッ」ですし、一年中見られるし、恋に結び付く物語も見当たらなそうだし、掛詞等もなさそうだし、・・・。
論文中には「雀は春・夏・秋・冬のどの季節にも見られる鳥だが、主として秋の収穫の時期や雪の降る冬に比較的多く登場する。秋の場合、田園風景の中で、特に引板・鳴子の音に驚いて飛ぶ群雀がよくみられる。冬では、竹藪の中や詠歌主体の宿近くに巣籠もりする雀が騒ぐ姿が多く描かれる。」ともあります。
雪うづむ園の呉竹折れ伏してねぐら求むる群雀かな 西行(山家集より)
また、俳句の春の季語として「雀の子」があります。
雀の子そこのけそこのけお馬が通る 一茶
現代詩にも、何かないかとかんがえ、そうだ「まどさん」だと思い、理論社「まど・みちお全詩集」を開いてみました。スズメを書いたものは4編、ちょっと長いけどその中の一編を。
雀 まどみちお
雀というのは おかしなやつだ
ぜったいに のこのこと 歩かない
足なら ちゃんと二本あるのに
まざわざ それを 一本にそろえて
ちょんちょんと はね歩く
と 気がついてから このかた
ぼくは 雀を見るたびに
せっかく足が 二本あるのにと
雀のために
もったいながってばかりいた
だが せっかく二本ある足を
なんで わざわざ
一本ずつにして のこのこ歩くのかと
雀の方では ぼくのために
くやしがっているのかも知れないぞ
と また気がついた
そう気がついてみると こんどは
それも そうなようでもあるので
この頃では こっちも二本足そろえて
ちょんちょんと やってみることもある
まだ雀には ないしょでだが・・・
(2025年6月14日記)
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